【活動報告】豊後大野市観光政策に関する視察報告
【視察概要】
・目的:豊後大野市の観光政策に関する調査
・日付:令和7年4月30日(火)14:00〜
・場所:大分県豊後大野市
・対応者:・江藤 喜啓 氏(一般社団法人豊後大野市観光協会 専務理事)
・甲斐 久満 氏(豊後大野市 商工観光課 課長補佐)
・参加者:愛媛県議会議員一行
令和7年4月30日14時より、
大分県豊後大野市にて、
愛媛県議会議員による観光政策に関する視察を実施した。
応対いただいたのは、
一般社団法人豊後大野市観光協会の専務理事・江藤喜啓氏、
および豊後大野市商工観光課課長補佐・甲斐久満氏である。
本視察では、豊後大野市が展開する観光戦略の全体像について詳細な説明を受けた。
特筆すべきは、豊後大野市が日本ジオパークとユネスコエコパークに同時に登録された
国内唯一の地域であるという点であり、
その観光資源の豊かさと国際的な評価の高さが明らかになった。
同市は市町村合併から20年が経過し、
ボトムアップ型で地域が主体となって認定を目指す日本ジオパークと、
国際基準に則って評価されるユネスコエコパークという両輪を活用しながら、
自然との共生を基盤としたまちづくりと観光戦略を進めている。
特に、近年のアウトドアブームを追い風に、
自然の恵みである「豊かな水と恵みの大地」を前面に打ち出した観光施設群が注目を集めている。
加えて、豊後大野市が力を入れている取り組みの一つが「サウナのまち」構想である。
温泉地が多い「おんせん県大分」の中にあって、
温泉のない豊後大野市があえてサウナを活用している点は興味深い。
古くから市内に根付く石風呂文化を現代的にアレンジし、
官民連携によりサウナの新たな活用を進めた結果、
令和2年度と比較してサウナ利用者数が10倍以上に増加するという実績を上げている。
また、観光客の受け入れ体制として、
ジオパークガイドの養成を毎年20名ずつ実施しており、
市外からの参加者もいるなど、地域内外からの関心が高まっているという。
一方で、道の駅などジオサイトにおいて海外からの観光客も増加傾向にある中、
多言語対応の遅れが今後の課題として認識されており、
伸びしろのある領域と位置づけられている。
なお、観光振興の中核として重要な「滞在型観光」に向けた取り組みでは、
宿泊施設の確保が課題として挙げられた。
市内には大分国体やFIFA2002を契機に整備された大型宿泊施設が2ヶ所あるが、
スポーツ施設の充実に伴い、これらの宿泊先は関連団体によりすでに予約が埋まっていることが多い。
そのため、市では民泊事業者の育成と増加を図っており、
柔軟な宿泊受け入れ体制の構築に努めているとの説明があった。
今後は、地元のサウナ文化の更なる普及や、
長野県諏訪湖での先進的事例(LUMP・高橋けん氏の取り組み)なども参考にしつつ、
持続可能で魅力的な地域観光の発展に期待が寄せられる。